一、やさしいまるみ

箱は、創業者がひとつひとつ手作りであの優しい丸みを出していました。

鶴乃子のまあるい箱をそっとなでてください。
手のひらにやさしくなじむ、自然なふくらみがあることにお気づきになるはずです。
創業者石村善太郎は、「競争はするな勉強をせよ。人が角いものを作ればこちらは丸いものを作れ」とよく言い、人と争わず、共生しようとするこころを持つこと、そして人の真似をせず独創的な菓子づくりをする、を信条としていました。その精神から生まれたのが鶴乃子であり、鶴乃子を入れる卵型の箱でした。初代は、隠居してからも「鶴乃子の箱だけは私が作るばい」と、柔道の稽古着を仕事着に、一つ一つていねいに紙を張り、茶碗の底を使ってあのやさしい丸みを出していました。その数は、1日に200個から300個にもなったそうです。
ー 花持ちし人よりよくる小路かな ー
しっかりとした自信を持った人は、自分から人にみちを譲りつつ前進するものだ。確固たる実力を備えながら、謙虚でありなさい、という意味です。この教えもまた、鶴乃子とともに初代から先代、現社長に受け継がれ、今に伝えられています。
「よろしく」、「ごめんなさい」、「たのしかった。」おみやげにはいろんな想いが込められているけれど、鶴乃子にはきっと、もらった人のこころをふと和ませてくれますよ、角のない、丸い気持ちがずっと込められてきたお菓子ですから。そうそう、鶴乃子の箱にまつわる話もちょっぴり添えて、おみやげ話に花咲かせてみませんか。