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2003年【文月号】
vol.33

 結婚式の一週間前に結納を届けます。
(現在では一ヶ月から三ヶ月前がほとんどのようです。)
 現在は両家だけで取り行うことが多いようですが、昔は若者二人と万端を取り仕切る荷宰領(にさいりょう)が、夜明けとともに結納の品を運びました。これを「荷持ち」といいます。新婦の家に着くと、白木の献上台にのせて座敷に飾ります。数は七台か九台の奇数と決まっていました。
  結納の品は
 1. お茶 一対
 2. 長のし 一折 
 3. 子生婦(こんぶ)
 4. 寿留女(するめ)
 5. 目録と末広(扇)
 6. 家内喜多留(やなぎだる、角樽に入った酒)
 7. 掛け鯛(雄雌の鯛)頭と頭を向かい合わせる。
 8. 帯 一折
 9. 紋付、小紋、羽織、小袖 一折
 現在も結納の品はほとんど同じですが、衣装のかわりに結納金を包むところがほとんどのようです。それもやらない所が増えているのは男女共同参画社会のせいでしょうか。一つ一つの品に「子生婦」「寿留女」などのめでたい文字を当てているのも、結婚に対する願いが込められていて面白いものです。
「どうぞめでたく、幾久しくご受納願います。」と荷宰領から品を受け取ると祝いの膳が出され、新婦の父は、受け取った品の受書を奉書紙に書き荷宰領に渡します。


博多式の結納茶(結納品)(ながさわ結納店より写真提供)
【ゆかた】
 夏の口に、一度は着たいのがゆかたです。気心の知れた友人と出かける夏祭りにでも、大切な人と行く花火の夜にでも、ゆかたに包まれて人に会う時は、心そわそわ、気分もぐっと変わるものです。
 幸田文の『番茶菓子』にはこんな記述もあります。
 ・・・ゆかたの味は、一言に云えば「夏」なのである。・・・とかく暑さにうるささは禁物である。さっと買って、さっと着て、ちょいと団扇でも持ってごらんなさい、われしれず美人にもなったような気がするし、したがって涼しくなろうじゃありませんか、と云いたいところが持味である。・・・
 上級者になると、気だるい暑さに心のもち様をかえてくれるのもゆかたの魅力。糊の効いたのは肌を離れて風を入れてくれるし、糊を落とせば肌に添って夜の冷気をかばってくれます。着慣れると、だんだんと「肌に情けのある着物」になっていくのに気が付くことも。
 少し気分を変えて過ごしたい一日には、ゆかたを纏(まと)ってみるのも一考かもしれません。

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